鍵盤を目的地にしない
ピアノに向かっていると、どうしても「自分」対「鍵盤」という構図ができてくる。
鍵盤を鍵盤ととらえないで何か別の物体だと思ってみたらうまくいくかもしれない。
たとえば、鍵盤は多少浮き沈みのある床だと思ってみたらどうだろう。
鍵盤を床ととらえてその上を踊るように演奏してみると、鍵盤は目的地でなくなる。
鍵盤を経由地点を考えると、大きく考え方が変わる。
マリンバなどの打楽器と比較してみても、床が浮き沈みするというのは、奏者にとってとてもありがたいことだ。ただぶつかるだけでなく、その浮き沈みが衝撃を緩和し、浮力という次へのエネルギーすら与えてくれるありがたい床だ。トランポリンと考えてもいいかもしれない。
特に舞曲作品では、視覚的効果を抜きにしても、演奏する身体が舞曲特有のステップを内在していないといけないと思う。
美しいステップからは美しい音色が生み出されるし、ステップがぎこちないと音もガタゴトになる。
いいステップができているか、確認しよう。